2023年 第19戦 ミネベアミツミレディス
【前日】
同時期に行われる全米女子オープンのB面のような扱いをされている気がするが、こちらでは大いに盛り上がっていこうと思う。なにしろ地元北海道での開催、しかも久々の所属主催の大会である。もちろん菊地絵理香選手のことだ。いつもはクールで慎重な彼女からこんな言葉が飛び出した。
「せっかくのホステス大会なので、(同じくミネベアミツミ所属の)阿部未悠選手とワンツーを決めたいです」
なんと!ブラボー!よくぞ言ってくれた!昨年のリコーカップの時のような戦闘モードに入ったようだ。飛ばし屋の翼をもぎ取る狭いフェアウェイ、それを外せばコントラストの強いラフ、さらに若手にとって慣れない洋芝、そしてなにより上位の連中は全米で留守ときた。こんなお膳立ては年に1回あるかどうか、まさに千載一遇のビッグチャンス。
「ここで勝たずにどこで勝つんだ!?」
と、サロンパスの初日に吉田優利にかけたのと同じ発破を菊地絵理香にかけておく。こわいのは青木瀬令奈と先週の復讐に燃えているであろう桑木志帆と藤本麻子くらいなもんだ。明日のナイスプレーに期待したい。
【初日】
見事なスタートダッシュを決めた菊地絵理香選手。ハーフを終えた選手たちで+5以上が10人超え(2/3以上がオーバーパー)という難コースだというのに。やはり昨日の殺気すらまとっていた気合発言はホンモノだった。今季は初日から私がはしゃぐと優勝しないジンクスがあるが、今大会はそれに該当しないのではないか。配信が昼過ぎからなので、おそらく放送開始時間には菊地選手はホールアウト間近、初日はこのまま首位をキープしていることだろう。
12時30分、配信開始と同時に菊地選手は-5、暫定首位でホールアウト。最後9番のバーディパットは入れておきたかったが、わずかに左に外れ本人も苦笑い。クール・ビューティーがめずらしく変顔を見せる(写真)。ただでさえ難コースなのにさらに風が吹き荒れる悪条件の中、1イーグル、3バーディ、ノーボギーの完璧なゴルフを魅せてくれた。午後組が続々とスタートしているが、菊地のこの-5を上回るスコアを出してくる選手はちょっといないのでは? 明日はバッチリ配信と同時スタートなので、今日のゴルフをまた魅せてほしい。
ところでDAZNよ。配信開始から1時間だが、ここまで18番のイーグルの映像ナシ。そろそろクレーム電話を入れようと思うので早急に流してください。
さて、初日は菊地絵理香がそのまま首位で終わった。参加119名中アンダーで回ったのがたったの22人という、荒天であったこともありかなり過酷な初日だったようだ。それに対して今日のペアリング、菊地の28組は異常だった。全選手分は貼れないが28組がいかにすごいかが分かる。小祝さくらのプレーの速さはおそらくJLPGAで1番だろう。菊地も速いのだ。それにつられてツアールーキー(訂正 94期生なのでプロ2年目)宮澤美咲も速くなるだろうから組全体のテンポがよかったのかもしれない。しかも3人とも地元北海道出身。明日も同じペアリングなので、本日と同様に3人の伸ばし合いが楽しみである。そしてまた3、4日目で改めて小祝と対決となると昨年の大東建託と似た状況にもなる。やはり今大会は菊地選手が獲ることになりそうだ。(このようにどんなに些細な事象でも優勝への材料として拾っていく)
【全米女子オープン 初日】
さすがの畑岡奈紗。首位と1打差-3の2位Tでホールアウト。午後スタート組が続々登場。勝みなみは-2、首位と2打差で奮闘中。岩井明愛が2ホール連続チップインバーディと序盤からスター性を見せつけている。岩井千怜は5ホールでEVENと落ち着いたスタートがきれた。と、こちらは軽めの報告程度にしておく。
【ミネベアミツミレディス 2日目】
まだ2日目ではあるが、2番のパーセーブで菊地絵理香の今大会の優勝は決まったといっていいだろう。
28組は今日もナイスプレーでまたも全員アンダーパー。菊地選手も単独首位キープ、明日も同じ3人で回ることになった。18番のボギーはもちろんたいへんもったいなかったのだが、Today-3の自身のプレーに対して、「今日はもっと伸ばせたかな」とインタビューに答えるのを聞いて、明日もしっかりやってくれると確信した。
【3日目】
小祝、today-4
宮澤、today-2
菊地、today+1
最終日もまたこの3人で。菊地絵理香、18番のバーディパットをショート。これはいかん。明日追撃者となるために決めなきゃいけなかった。決められなくてもせめてオーバーして欲しかった。山下美夢有や岩井姉妹だったらそうしただろう。しかしまだ明日チャンスはあるはずだ。ただ、そのチャンスを得る権利を持つ者が大勢になってしまった。馬群を抜け出し差し切るという勝ち方をまだしたことがないが、今季の最終戦に再び出場したいと思うなら、ここで勝っておかないといけない。明日は北海道に届けと大応援をする。
と、ここまで書いて思い直した。私は何を偉そうなことを言っているのだ。ホステス大会で最終日最終組を死守した、これってとてもすごいことだぞ。計り知れないプレッシャーがかかる中、無事予選通過が決まり昨夜は少しホッとしてしまったのは想像に難くない。明日はもちろん優勝が最高のゴールだが、無事18ホール戦い終えてくれたらそれでいい。まるで孫の試合を観戦するおじいちゃんのような気持ちになった。そして変わらず最大の応援を北海道へと届けるつもりだ。
【最終日】
小祝さくらが今季初優勝。そのメンタルの安定感。これに尽きると思う。たまに出てしまうOBなどを期待したが(菊地選手応援中だったためご勘弁)、そんな兆しすら見せなかった。初めての地元優勝おめでとう。また4日間同じ組で回った宮澤美咲も、今日はバーディこそなかったが、その笑顔をたやさないさわやかなプレーは、多くの人の記憶に残ったであろう。
そして所属の大会において、2位Tの成績でその重責を果たした菊地絵理香。そのサンデーバックナインのプレーは観る者を大いに楽しませてくれた。試合後のインタビューで「ここまできたらやっぱり勝ちたかった」と言っていた菊地。次々週から始まる後半戦でまた何度も優勝争いをみせてくれることを期待したい。
※次週はオープンウィーク(お休み)
2023.7.9.15:57 責了