JLPGAツアー観戦記

ナイスー♪

【プレビュー】2023年 第30戦 日本女子オープン

「春休みに初インドを計画しています」
「いいじゃん。どのあたり?」
「そりゃ、マストはバラナシです」
「やっぱそっか。でも……」
「何です?」
「招かれた人だけなんだよ。インドに行けるのは」


 遠い昔、学生時代のこと。
 「アジアンジャパニーズ」という本を仲良しだった年上の女性に借りた。本を貸してくれた彼女は、バリ島とインドと日本を三角移動で暮らしているいわゆる旅人だった。彼女に旅の話を聞いていて、完全にインドにハマってしまった私は、今すぐにインドへ行かねばと思い立ったのだ。それを彼女に伝えたときの会話が冒頭。
 あれから数十年、未だにインドには行けていない。

 

 明日から日本女子オープンが福井県芦原ゴルフクラブ 海コースで開催される。
 今季メジャー3戦目にして最高峰とされる大会だ。
 メジャー、誰もがそのタイトルを渇望するが、通算16勝のあの上田桃子でさえ55回挑戦して未勝利という、そこには強さだけでは勝てない何かが間違いなく存在する。
 我らが菊地絵理香選手もこの日本女子オープンに忘れ物がある選手の一人だ。2015年のプレーオフ4H目、望みを繋ぐボギーパットが左にギュッと切れたあのシーンを、私たちはどうしても思い出さずにいられない。


 もしかしたらその時の菊地選手は、まだメジャーから招かれていなかったのかも。それから8年がたった先月のニトリレディス優勝。2度の中断や名手のまさかのパー逸など、これは完全に招かれた者の勝ち方だった。
 菊地選手は今、2015年には持っていなかった「持っている」を持っているはず。4日間招かれた方へ歩き続けて、どうか最後にあの魔法のランプを掲げてもらいたい。