JLPGAツアー観戦記

ナイスー♪

2023年 第23戦 NEC軽井沢72ゴルフトーナメント

ついに勝ったよ
プレーオフ1ホール目。菅沼菜々ティーショットは左ラフへ。木がグリーンへの道を塞いでいる。フェアウェイに戻して勝負の3打目はピンまで7m。神谷そらの3打目は2.5m。今日の神谷なら間違いなく決める距離。菅沼はこの7mを決めないと初優勝はほぼなくなる。しかし無情にもボールはカップのわずか数センチ左を通り抜けた。「ああ、終わった」と誰もが思い、神谷のウイニングパットを見つめた。神谷の打ったボールは真っ直ぐにカップへ向かったのだが……

菅沼の大好きなハチワレ(「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」より)

カップに落ちそうなボールは、何かのチカラで弾かれるように右へくるりと回って外へ。これでプレーオフは2ホール目へ突入することとなった。
今日1日フェアウェイを捉えるのにたいへん苦労した菅沼だったが、最後はフェアウェイ右から2mへピタリ。しぶとくパーを拾って食い下がる神谷(これもすごい精神力だった)を振り切って、ついに、ついに勝った。最終ホールで追いつかれるというしびれる展開だったが、終始冷静に(そう見えただけだが)マネジメントできていた菅沼が、プロ6年目にして初優勝。
多くの人をずいぶん長い間待たせたが、すぐにステージに現れないのがアイドルなのである。原英莉花の復帰と合わせて、またJLPGAがひとつ明度を上げた日になったといえよう。優勝スピーチで自身が“広場恐怖症”であることを伝え、同じ症状に苦しむ人たちに元気と勇気をあげたいと言っていた。菅沼はその症状により、北海道や沖縄という車での到着が困難な場所で開催される大会には出場できない。シード選手でありながら5試合を欠場しなければならないのだ。その境遇がどれほどのものかは私などが測れるはずもないが、それでも笑顔でプレーし続ける彼女に元気をもらっている人は大勢いることだろう。「元気をもらう・与える」という言葉は、リアリストを気取っていた今までの私にとってあまり好きな言葉ではなかった。ただ元気をもらってしまった今日から、少し考えを改めようかとも思った。
菅沼菜々選手、初優勝おめでとう。すばらしい試合でした。

菅沼の両親、同期の稲見萌寧に混じってなんと菊地絵理香。実はやさしく素敵な先輩なのだ

ホステスの安田祐香は14位。責任は果たした。そろそろ次は優勝だ


2023.8.13.15:59責了


AIG全英女子オープン 2023

【初日】
イングランドウォルトンヒースゴルフクラブにおいて、8月10日(木)~8月13日(日)の4日間の戦いが始まった。悲願のメジャー制覇に向けて、畑岡奈紗が好スタート。先週の鈴木愛ではないが、「今度こそ」優勝へ。もちろんカギになるのは最終日だ。それとみなさん大注目の櫻井心那も畑岡と同じく2位Tにつけている模様(8/10 22:00時点)。プレー内容は見ていないが、最近磨きに磨いている100yランチャーがキマりまくっているのだろう。岩井千玲も-1といい位置だ。後ほど民放でも放送してくれるようなので、午後スタート組の西村優菜勝みなみ川﨑春花穴井のアニキのプレーを見てみようと思う。そして山下美夢有が今回どこまで上位で勝負ができるかも注目だ。

渋野の優勝から4年。そろそろまた日本人に獲ってもらいたい

【2日目】
日本人参加16人のうち、10人が見事に予選を通過した。1人目は黄金世代、否、みなみちゃん世代の代表勝みなみだ。この日3つ伸ばして2位Tは首位とは5打差ではあるが、このチャンスはモノにしてほしい。続いて畑岡奈紗は-3の9位T。悲願のメジャー獲得までまだまだ射程距離だ。山下美夢有古江彩佳が並んで-2の18位T。JLPGA女王を狙う申ジエも同じ順位で山下をロックオン中。そして根性娘・西村優菜も-1の28位Tでキッチリ予選を通過した。なんとかベスト10フィニッシュを決めて来季シード権を獲得してもらいたい。以下、櫻井心那吉田優利西郷真央と続いて、カットラインの+2に最終ホールのバーディで滑り込んだのは、川﨑春花岩井明愛だ。最高峰の舞台であと2日戦える、何にも変えがたい経験となることだろう。その2人と対照的に、残念ながらわずか1打足りず予選落ちとなった穴井詩笹生優花岩井千玲の3人と、以下木村彩子渋野日向子、アマチュア馬場咲希の全英は2日目で終わった。

2日目の結果。いいぞ勝っちゃん、やっちまえ!

【3日目】
予選通過の日本人10人にとってスコア的に厳しい1日となった。伸ばせたのは畑岡奈紗(Today 1アンダー)と岩井明愛(Today 3アンダー)の2人だけ。その畑岡で首位まで5打差。可能性は残したが11人抜かなければならないのは厳しい。明愛の6バーディ(3ボギー)はたいへん立派。そしてTodayイーブンで堪えた西村優菜以外は、みんな軒並みスコアを落とした。吉田優利櫻井心那古江彩佳山下美夢有の4人は揃って通算+2、44位Tで並び、西郷真央川﨑春花は大きくスコアを崩してしまった。
川﨑はホールアウト後のインタビューではんなりとこう答えた。「ヘタクソやったから……」言い訳などしない彼女の最終日は最下位スタート。文字通り失うものは何もないはず。今持っている自分の全てをぶつけて完走してもらいたい。がんばれ。
また、首位を狙った勝みなみもポツポツとボギーを重ねたが16番で起死回生のイーグルゲット。しかし6打差13人抜いての優勝の望みは限りなく薄いか。
最後に申ジエだ。Today5バーディ2ボギー、通算-5で7位Tにつけた。初日こそオーバーパーだったが、昨日と今日で完全にアジャストしてきたように見えた。首位までの視界も良好。もし米ツアーメジャー優勝となるとメルセデスポイント800ptをゲット。これは現在首位山下との差150ptを完全に抜き去ることになる。JLPGA女王を悲願としているジエの最終日のプレーはおそらく鬼神の如しとなるだろう。先のアースモンダミンカップ最終日、プレーオフが決まった瞬間に申ジエのスイッチが入った音が画面から聞こえたが、今回もイングランドからスイッチオン音が届くことになるだろう。現・女王山下も「最終日は楽しみます」というわけにはいかなくなった。
最終日、日本勢10人+申ジエのJLPGA魂(?)の爆発に期待したい。

なんだかんだでさすが世界1位のネリー・コルダ。ひたひたと上位にあがってきた

【最終日】
優勝はこの日ベストスコア5アンダーを叩き出したリリア・ヴ(米)。シェブロン選手権に続き今季メジャー2勝目。日本勢最高位は11位Tに岩井明愛畑岡奈紗。明愛は初日103位Tから巻き返しての、畑岡は逆に最終日伸ばせずの順位。また、古江彩佳勝みなみ西村優菜、そして山下美夢有がトータルイーブン21位Tで並んだ。山下はこれで70pt前後のメルセデスポイントが加算されることになる。JLPGA女王を争う申ジエとの差は約150pt差。しかしそのジエはなんと単独3位でフィニッシュ、360ptを獲得した。これはJLPGAツアー4日間大会の優勝分(300pt)を上回るポイントだ。よって山下とジエが入れ替わり、次週以降は山下がジエを追う立場になった。7月の時点で女王レースは山下独走の様子を呈していたが、これでまたツアーを見ていく楽しみがひとつ増えたと言っていいかもしれない。あと最終日特筆すべきは、西郷真央だ。この日5アンダーを出したのは優勝したリリア・ヴと西郷の2人だけ。最終日に伸ばすのがどれほどたいへんなことかは畑岡に聞いてみればいい。日本でも調子の上がらない西郷ではあるが、その実力に疑いの余地はない。
そして最後に最下位からスタートの無敵の人川崎春花。バーディ3つとったもののトリプルを含むボギーを重ねて、トータル17オーバー73位でフィニッシュした。しかし世界の73位だ、胸を張って帰ってきてほしい。

勝っちゃん、おつかれさまでした。次週箱根に参戦のようです

ぐぬぬ、今回は韓国勢に完敗だな




2023年 第22戦 北海道meijiカップ



【初日】

北海道シリーズ第2戦。涼しいといっても29.5℃は北海道ではなかなかの高気温だ。先日のミネベアミツミレディスで見せてくれた地元北海道勢の優勝争いをまた期待したい。初日首位に立ったのが、地元も地元(コースと同じ、北広島市出身)の小祝さくらコースレコードへあと一つと迫る、8バーディ・ノーボギーの完璧なゴルフだった。ミネベアミツミでの優勝からこっち、好調を維持し続けている小祝。再び北海道で今季2つ目のトロフィーを掲げることができるだろうか。単独2位には、こちらも好調な鈴木愛。先週は最終日に櫻井心那に逆転されてしまったが今週は3日間だ。全集中で優勝へ向かってほしい。その他上位は、吉田優利仁井優花大出瑞月葭葉ルミリ ハナが首位と3打差の3位T。そして注目は4アンダー8位Tで初日を終えた川﨑春花だ。今季川﨑が初日ひとケタの順位に入ってくるのは、おそらく初めてではないだろうか。たまたまなのか、何かきっかけを掴んだのか、いずれにしても、先週2勝目をあげた同期の櫻井心那の、その強い勝ち方を目の当たりにしたことが無関係ではないと思う。昨年のメジャーチャンピオンのひとりが現在の成績ではあまりに物足りない。今週は優勝争いをしてほしいものだ。
そして菊地絵理香である。おはようバーディからoutは-3と順調だったが、inはバーディをとった直後にボギーを繰り返してしまい、トータル3アンダーは首位と5打差の18位Tで初日を終えた。パー5で2つバーディをとれた以外は全体的にいつも通りの菊地だった。悪くないのだが、今週の小祝さくらを捉えるには迫力が少し足りないかもしれない。しかしミネベアミツミで4日間一緒にまわった小祝が目の前で地元優勝を決めたことは、同じ北海道出身の菊地にとって期するものがあったのは容易に想像できる。それを思い出して明日は爆発してくれるといいのだが。

凛々しい

それから、ヘルニアの手術のため休んでいた原英莉花が3ヶ月ぶりにツアーに復帰した。まだスイングは全力ではないが、今年は無理せずに。なんなら来季はメジャー優勝の権利を行使してもよいのでは。まずは今週完走できるよう見守りたい。

【最終日】
何度「今度こそ」と書いたことだろう。最後に勝った資生堂レディスから2年が経っていた。昨今見られ続けた最終日の弱さは鳴りを潜め、キッチリ5つ伸ばして鈴木愛がようやく勝った。今後は「海外へ行くのは私を倒してからにしなさい」という簡単には崩れない壁となって若手の前に立ちはだかってほしい。
涙はなかった。そう、泣いているヒマなどない。失い続けたこの2年をこれから取り返していくのだから。
それにしても想像した以上に私はうれしい気持ちになった。歓喜というより、安堵の気持ちだ。おかえりなさい。女王の帰還だ。

櫻井心那と川﨑春花の優勝争いも見てみたかった。その2人はこれから全英へ。怖いものナシの櫻井の爆発はあるか。


2023.8.6.15:56 責了

2023年 第21戦 楽天スーパーレディース

【初日〜2日目】今度こそ
第5戦ヤマハレディス以来の首位での予選通過。鈴木愛である。2日目の今日はショット〜アプローチ〜パット、すべて噛み合っていたように見えた。今度こそ、昨年から続いている“決勝で崩れる”という悪い流れを止めることができるか。小祝さくらが8連続バーディを含むToday-9で3位Tに躍り出た。小祝はプレーが速いため、ライブでバーディパットを捉えるのは至難の業だ。DAZNのスイッチャーも今日は苦労したことだろう。小祝と同じく3位Tの吉田優利も2日間ノーボギーでとても安定している。昨季の勝みなみの4日間ノーボギー優勝を意識しているようだ。また櫻井心那資生堂のときのような勝ち方をするなら7位Tは好位置だ。さらに忘れてはいけない1人岩井明愛、19位Tとややトップとは離れているように見えるが、彼女は急に-10とか叩き出したりするので明日のムービング・デーは期待だ。
さて、今大会初優勝者が生まれるとしたら、鈴木と並んで予選を首位通過した宮澤美咲資生堂で櫻井にプレーオフで敗れたリベンジの機会を狙っていた桑木志帆、同じくヨネックスレディスで悔しい思いをした佐久間朱莉あたりが有力か。菅沼菜々も候補だが、今日は見ていてかわいそうなくらい、まったくパットが入らなかった。18Hのバーディが明日の爆発のきっかけになってくれるといいなと思う。そして最後に菊地絵理香。Today5つ伸ばして+2からの予選通過だった。ナイスプレー!  しかし、せっかく伸ばしているのにスタート時間により画面に映らないこのパターンが本当に多い。(しかも滅多に出ないイーグルが出ている)
さて決勝の明日、兵庫の気温はというと、午前中はギリギリ20度台で回れるかもしれない。しかし正午すぎからはまた真夏日の予報だ。どうか選手たち、また会場の観客や関係者全員が、無事に4日間を終えられますように。

当たり前だがインタビューも機嫌よく饒舌だった。今度こそ2年ぶりの優勝を。

コースセッティングは諸見里しのぶ。優勝スコアを-20と想定しているそうだ。ピッタシになりそう。


【3日目】18番のイーグル・ジェットストリームアタック
ジェットストリームアタック(以下、JSA)とは機動戦士ガンダムの世界内の用語で、3機のモビルスーツ(ドム)が一列に並んで(ガンダムに対して)波状攻撃を仕掛ける戦術である。つまり今日3日目に起こったJSAとは、まず第9組の櫻井心那(ガイア)が2オン1パットで決め、次に第10組の小祝さくら(マッシュ)がチップインイーグル、そして最後は最終組鈴木愛オルテガ)が3打目を見事ショットインイーグルで締めた。このように20〜30分のフレーム内で3つのイーグルが見られるのはたいへんめずらしい。さらに浜崎未来が8番で初エースを達成。(ちなみにエビアンでは馬場咲希もエースだ)
このような伸ばし合いになるコースセッティングについて、「日本は簡単すぎる」「これに慣れちゃうと海外で戦えない」などの批判が聞こえてくる。それも一理あるが、毎回毎回サロンパスカップのようなギッチギチの試合ばかりでは観ているこちらが疲れてしまう。たまには良いではないか。
3日目で崩れなかった(どころか伸ばした)鈴木愛がついに壁を1枚破った。簡単ではないがあと1枚ブチ破って、2年ぶりにトロフィーを掲げてほしい。
最後に菊地絵理香はToday+1。うむぅ。。。兵庫は暑いからしょうがない。

明日最終日、明愛が-10を出してもトータル-21。ちょっと優勝には届かないかな

【最終日】
櫻井心那が今季2勝目。強かった。元来持っていたキャノン砲に続き、100ヤードランチャーを装備してしまった櫻井に死角はほぼなかった。マネジメントもまるでベテランのそれのよう。残り試合数を考えると、あと2,3つ勝ってもまったくおかしくないだろう。一方、2年ぶりの優勝に向かって櫻井を追走した鈴木愛だったが、13番の渾身のバーディで一旦は追いつくも16番のボギーで万事休す。いつものように最終日の“崩壊”があったわけではなかった。ただ17番のバーディパットが入って1打差となったとしても、今日はきっと勝てなかっただろう。今日の櫻井が強すぎたのだ(今週は愛ちゃんに勝ってほしかったのだが)
それにしても、先日の資生堂レディスに続き、山下・岩井千怜が留守の試合でキッチリ勝つところは抜け目がない。(立派だ、という意味だ)このレベルアップした櫻井心那が、たった今フランスで戦っている最中の山下美夢有と相対する今後の試合を思うとワクワクが止まらない。
最後に菊地絵理香は52位Tでフィニッシュ。3.98ptをゲット。

2勝目をお祝いにきた仲良しの川﨑春花と手を繋いでアテストルームへ。川﨑は現在MR46位。そろそろ巻き返さないといかんね

来季シード権を賭けた50位前後の戦いは続く。今週上位に入った 浜崎、大出、鶴岡らが順位を上げた。我らが比嘉真美子よ、序盤の勢いをもう一度


2023.7.30.14:51責了


2023年 第20戦 大東建託いい部屋ネットレディス

ここから後半戦。昨年の北海道から福岡に舞台をうつして4日間で行われる今大会。全米帰りの選手たちもほぼエントリーしており、そこで得た経験を活かして、前半と違うプレーを見せてくれるだろうか。
先週のオープンウィークでは、ゆっくり体を休めたり、ここぞとばかりに遊び倒したり、スポンサーまわりをしたり、いつも通り練習に明け暮れていたり、と選手それぞれの過ごし方があったようだ。私も先週は休ませてもらった。「前半戦の振り返り」を書き始めたのだが、暑さにやられて気力を失ってしまったのだ。情けないが、ケツを叩く編集者がいるわけでもないし、購読を楽しみにしてくれる読者が(いまのところ)たくさんいるわけでもない。他人に悪影響を与えるわけではないので、どうかご容赦いただきたい。……などと、こんなにダサい弱音など選手たちはもちろん決して吐かない。
福岡県糸島市の開催期間中の天気は、曇り/傘マークがチラホラといったところ。これまでの豪雨で通行止めになった道がいくつかあるようなので、観戦にいくなら公共交通機関を使用するようにと、主催者側は呼びかけている。
私はちょうど開催期間と同じ日程で出張が入ってしまい、おそらく観戦は1分もできないだろう。かと言って、初日のゴルフも見ずに優勝者の予想などしたくはないので、週明け月曜日にここに追加で結果を添えるという形にしたいと思う。こうなると今回も事実上先週に続いて休み扱いとなってしまいそうだ。
ちなみにディフェンディング・チャンピオンは我らの菊地絵理香である。しかしポスターには契約プロ4人の写真のみ。ほほう、やってくれるじゃない。前節の悔しさを力に変えて。菊地の大会連覇を期待したい。

今年のポスター。いないね、ディフェンディングCが

なので、優勝した昨年、コースレコード-9を叩き出した第2Rの写真を掲げてやりました。

日曜に出張から帰宅し、最終日を録画で視聴した。
小祝さくら吉田優利、2人の実力者がその背中を追いかけたが、バックナインで5連続バーディの離れ技を見せた「黄金世代」のひとり、小滝水音が見事初優勝。着実に力をつけてきたものがようやく開花した感のある選手。今後の活躍を見守りたい。
ところで、荒天による短縮競技は今シーズン3度目。良い競技短縮と悪い競技短縮があるわけではないが、6月のヨネックスレディスの競技短縮&セカンドカットは、あまりよい短縮ではなかった記憶がある。インスタでセカンドカットのスコアが最後まで知らされなかったことに苦言を呈した選手もいた。(それが原因とは言わないが、その選手はそれからJLPGAツアーに出ていない。)結局27Hという、競馬でいうとスプリンターズステークスな短距離レースでの決着となった。そして今大会、多くの人たちがコメントしていた通り、3日目を2wayスタートにしなかった決定について、なんだかとても気持ち悪く感じた。「ゴルフ競技は選手とファンだけでは成り立たないんだよ」というメッセージがやけに強く伝わってきたのだ。それを承知で視聴していたつもりでもこれはちょっと。。。前述のヨネックスも、コースが霧に包まれるのはわかっていたのに通常の新潟開催から、わざわざ静岡の霧の名所朝霧へ。いろいろあるのだろうが、なるべくキレイにやってほしいものだ。
最後にDAZNよ、ウイニングパットを決めた瞬間、そしてその後の数秒間、その選手の顔を映すのはそんなに難しいことなのか? やはり新興なためにグリーン回りのカメラマンの動きが制限されているのか? 何度も言うが無料放送じゃないんだからさ。「DAZNさん、パットの時にカップが見えません」に続き、「DAZNさん、優勝の瞬間、選手の顔が見えません」を番外編で書くからね。

ほんの一瞬顔が映ったが、これが精一杯


2023.7.24.15:45 責了

【番外編】全米女子オープン 2023

畑岡奈紗、悲願達成へ
「彼女だけ違うコースをプレーしていたようだ」を地で行く“Today-6”という異次元のスコアを叩き出した畑岡奈紗。3日目を終えて-7、単独首位に躍り出た。2年前の忘れ物を取り戻すために、明日残り18Hを走り抜ける。
今大会、史上最多22人の日本人プレーヤーが本戦に臨み、11人が予選を通過。ミネベアミツミレディスと交互に観ていると、全米のそのコースの荒々しさたるや……草(敢えて“草”と表記したい)の長さやフェアウェイの起伏(フェアウェイ……なのか?)、そして本場リンクスの“重すぎる”風。こんなコースでToday-6とは!特に16番のバーディは圧巻だった。今日の畑岡を形容する言葉に「モンスター」では少々足りない。襲いかかるであろうプレッシャーや怖れなどの負の感情、そのすべてを飲み込んで明日、悲願達成へ。

日本人11人の予選通過のうち畑岡、古江とやはり実力者が上位に。19位Tと木下彩が健闘している。そして申ジエがあの位置にいるのは不気味だ

【最終日】
畑岡、5番のナイスパーセーブでスイッチが入り、6番バーディで勝利への流れができたかに見えたが、8番でバーディを逃す。しかし9番バンカーから執念のパー、フロントナインを終えてコーパスと並び首位。1打差3位に12番までToday-6(異次元)のチャーリー・ハル。そして首位と3打差4位Tに申ジエだ。さあ、勝負はサンデーバックナイン。


14番、コーパスがバーディを獲ったのに対し、畑岡はボギーで万事休す。畑岡にいつもの力みは感じられなかった。むしろバックナインのプレーには気の乗っていないショットがあったようにみえた。いくつかの凌ぐパーパットはあったが、いくつかのクラッチ・シチュエーションはモノにできなかった。そしてその代償を払うことになった。目の前で勝手に後退していく対手をみて、コーパスはどんどん楽にプレーできるようになった。フェアウェイをほとんど外さないティショットの正確性、グリーンは2パット以内で仕上げるほぼ完璧なプレー。アリセン・コーパス全米女子オープン制覇おめでとう。これが米ツアー初優勝。畑岡奈紗、この先今日のようなチャンスは何度も訪れるだろうが、今日そして今までとは違う結果にするために、技術ではない何かを習得しなければならないのではないか。それでも世界最高峰の舞台で4日間戦い抜き4位Tはたいへん立派な成績だ。ただメジャーを制覇するとは、人によっては物凄い茨の道を歩かなければ達成できない難しいものなのだろう。
申ジエが最終ホール歓喜のバーディで2位Tでフィニッシュ。
古江彩佳は6位Tでフィニッシュ。両者とも素晴らしい最終日の内容だった。

木下彩の13位は立派。初日以外は安定のスコア。リンクス向き?





2023年 第19戦 ミネベアミツミレディス


【前日】

同時期に行われる全米女子オープンのB面のような扱いをされている気がするが、こちらでは大いに盛り上がっていこうと思う。なにしろ地元北海道での開催、しかも久々の所属主催の大会である。もちろん菊地絵理香選手のことだ。いつもはクールで慎重な彼女からこんな言葉が飛び出した。
「せっかくのホステス大会なので、(同じくミネベアミツミ所属の)阿部未悠選手とワンツーを決めたいです」
なんと!ブラボー!よくぞ言ってくれた!昨年のリコーカップの時のような戦闘モードに入ったようだ。飛ばし屋の翼をもぎ取る狭いフェアウェイ、それを外せばコントラストの強いラフ、さらに若手にとって慣れない洋芝、そしてなにより上位の連中は全米で留守ときた。こんなお膳立ては年に1回あるかどうか、まさに千載一遇のビッグチャンス。
「ここで勝たずにどこで勝つんだ!?」
と、サロンパスの初日に吉田優利にかけたのと同じ発破を菊地絵理香にかけておく。こわいのは青木瀬令奈と先週の復讐に燃えているであろう桑木志帆藤本麻子くらいなもんだ。明日のナイスプレーに期待したい。

【初日】
見事なスタートダッシュを決めた菊地絵理香選手。ハーフを終えた選手たちで+5以上が10人超え(2/3以上がオーバーパー)という難コースだというのに。やはり昨日の殺気すらまとっていた気合発言はホンモノだった。今季は初日から私がはしゃぐと優勝しないジンクスがあるが、今大会はそれに該当しないのではないか。配信が昼過ぎからなので、おそらく放送開始時間には菊地選手はホールアウト間近、初日はこのまま首位をキープしていることだろう。

なんと18番でイーグルが出た模様。イケイケドンドンだが先日のアースモンダミンの初日のパターンと酷似している。果たして……

12時30分、配信開始と同時に菊地選手は-5、暫定首位でホールアウト。最後9番のバーディパットは入れておきたかったが、わずかに左に外れ本人も苦笑い。クール・ビューティーがめずらしく変顔を見せる(写真)。ただでさえ難コースなのにさらに風が吹き荒れる悪条件の中、1イーグル、3バーディ、ノーボギーの完璧なゴルフを魅せてくれた。午後組が続々とスタートしているが、菊地のこの-5を上回るスコアを出してくる選手はちょっといないのでは? 明日はバッチリ配信と同時スタートなので、今日のゴルフをまた魅せてほしい。
ところでDAZNよ。配信開始から1時間だが、ここまで18番のイーグルの映像ナシ。そろそろクレーム電話を入れようと思うので早急に流してください。

強風吹き荒ぶ中、完璧なゴルフ。完全優勝への期待が高まる


さて、初日は菊地絵理香がそのまま首位で終わった。参加119名中アンダーで回ったのがたったの22人という、荒天であったこともありかなり過酷な初日だったようだ。それに対して今日のペアリング、菊地の28組は異常だった。全選手分は貼れないが28組がいかにすごいかが分かる。小祝さくらのプレーの速さはおそらくJLPGAで1番だろう。菊地も速いのだ。それにつられてツアールーキー(訂正 94期生なのでプロ2年目)宮澤美咲も速くなるだろうから組全体のテンポがよかったのかもしれない。しかも3人とも地元北海道出身。明日も同じペアリングなので、本日と同様に3人の伸ばし合いが楽しみである。そしてまた3、4日目で改めて小祝と対決となると昨年の大東建託と似た状況にもなる。やはり今大会は菊地選手が獲ることになりそうだ。(このようにどんなに些細な事象でも優勝への材料として拾っていく)

他と比べて28組のロースコアっぷりがすごい

初日アンダーパーで回ったのはこの22人(119人中)


全米女子オープン 初日】
さすがの畑岡奈紗。首位と1打差-3の2位Tでホールアウト。午後スタート組が続々登場。勝みなみは-2、首位と2打差で奮闘中。岩井明愛が2ホール連続チップインバーディと序盤からスター性を見せつけている。岩井千怜は5ホールでEVENと落ち着いたスタートがきれた。と、こちらは軽めの報告程度にしておく。

このあと千怜もチップインバーディ


ミネベアミツミレディス 2日目】
まだ2日目ではあるが、2番のパーセーブで菊地絵理香の今大会の優勝は決まったといっていいだろう。
28組は今日もナイスプレーでまたも全員アンダーパー。菊地選手も単独首位キープ、明日も同じ3人で回ることになった。18番のボギーはもちろんたいへんもったいなかったのだが、Today-3の自身のプレーに対して、「今日はもっと伸ばせたかな」とインタビューに答えるのを聞いて、明日もしっかりやってくれると確信した。

おはようバーディでドヤ顔

28組ワン・ツー・スリーで明日3日目も同じ組。4日間同じ組って過去にあるのだろうか


【3日目】
小祝、today-4
宮澤、today-2
菊地、today+1
最終日もまたこの3人で。菊地絵理香、18番のバーディパットをショート。これはいかん。明日追撃者となるために決めなきゃいけなかった。決められなくてもせめてオーバーして欲しかった。山下美夢有岩井姉妹だったらそうしただろう。しかしまだ明日チャンスはあるはずだ。ただ、そのチャンスを得る権利を持つ者が大勢になってしまった。馬群を抜け出し差し切るという勝ち方をまだしたことがないが、今季の最終戦に再び出場したいと思うなら、ここで勝っておかないといけない。明日は北海道に届けと大応援をする。

と、ここまで書いて思い直した。私は何を偉そうなことを言っているのだ。ホステス大会で最終日最終組を死守した、これってとてもすごいことだぞ。計り知れないプレッシャーがかかる中、無事予選通過が決まり昨夜は少しホッとしてしまったのは想像に難くない。明日はもちろん優勝が最高のゴールだが、無事18ホール戦い終えてくれたらそれでいい。まるで孫の試合を観戦するおじいちゃんのような気持ちになった。そして変わらず最大の応援を北海道へと届けるつもりだ。

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【最終日】
小祝さくらが今季初優勝。そのメンタルの安定感。これに尽きると思う。たまに出てしまうOBなどを期待したが(菊地選手応援中だったためご勘弁)、そんな兆しすら見せなかった。初めての地元優勝おめでとう。また4日間同じ組で回った宮澤美咲も、今日はバーディこそなかったが、その笑顔をたやさないさわやかなプレーは、多くの人の記憶に残ったであろう。
そして所属の大会において、2位Tの成績でその重責を果たした菊地絵理香。そのサンデーバックナインのプレーは観る者を大いに楽しませてくれた。試合後のインタビューで「ここまできたらやっぱり勝ちたかった」と言っていた菊地。次々週から始まる後半戦でまた何度も優勝争いをみせてくれることを期待したい。

12番のバーディ逸と14番のお付き合いボギーさえなかったら……

優勝した小祝さくら(黄色のシャツの方)

前週と今週の2試合で170pt近くを獲得した宮田成華がメルセデスランキング54位まであがってきた。ウェイティングからの逆転シードなるか



※次週はオープンウィーク(お休み)

 

2023.7.9.15:57 責了